N's Little Happiness






(42) 華氏911




今アメリカで話題になっている『華氏911』(正式なタイトルは Fahrenheit 9/11) をやーっと見てきた。
これはドキュメタリー作家、マイケルムーアの新作で、彼自身「この映画はブッシュ大統領の再選を防ぐ目的で作ったー」と言っているのだが、もともと配給先に決まっていたディズニーが公開を取りやめて、アメリカでの配給先が決まらないまま出展されたカンヌ国際映画祭で最優秀賞を取って話題になっていたもの。


カンヌを取った後配給元は決まったけれど、上映されている映画館は本当に少ない。 けれど私の行った映画館では2スクリーンで上映されていたにも関わらず、両スクリーンとも満席だった。 ブッシュのお膝元、テキサスで、だ。

フィルムの前半はユーモアをいっぱい交えているのだけど、内容自体はジョークにならないほど重い。

内容は以下の通り。

・大統領選の不正疑惑 - 下院の黒人達が反対するにも関わらず、最高裁がブッシュを大統領として承認する。上院は白人のみ。
・テロを警告されながらも何もしなかったブッシュ
・911のテロの翌日すべての飛行機が離陸を禁止されているにも関わらず、ブッシュファミリーと長年の友人関係であったサウジアラビアのビンラディン一族だけが、密かにのプライベートジェットに乗って本国サウジへ帰ってしまった
・テロリストとして捕まった20人の内、17人がサウジアラビア人だったにも関わらず、ブッシュファミリーとサウジ王族達の親密関係のため調査は中止される
・石油利権のためアフガンを侵攻した軍人はニューヨークにいる警察官の数より少なかった、しかも911が起った2ヵ月後。(ブッシュは敵に逃げるための2ヶ月間をあげている)
・そして911とは何の関係もないイラクへの侵攻
・ビンラディンは今だ捕まらず、何の関係もないイラク人達は今も殺されている

頭を割られながらも生きているイラク人の子供

肌や目がドロドロに溶けている赤ん坊

民間人を連行するアメリカ人、「彼が何の罪で捕まるというの?何もしていないのに?」とその場で泣き叫んでいる母親

捕虜のイラク人たちを虐待しているアメリカ軍人

そして負傷し、手足を無くし、腕をなくしたアメリカ軍人病院の兵士たち

息子をイラクで亡くしたアメリカ人家族

「貧乏人が貧乏人を殺すなんて絶えられない」と、イラク戦場で涙を流すアメリカ兵

その一方で戦争は金になるとタキシードを来て話している、イラク再建を受注したアメリカ企業の人たち---

ここ、アメリカのテレビでは決して見ることのできない映像の数々ーー。


ここは本当に自由の国アメリカなのかーー。


フィルムの後は拍手がなりやまず、立ち上がる人もいなくて会場全体が不思議な空気に包まれた。


この映画には批判もたくさん出ている。  「細かい事実誤認がる」「編集で文脈を変えている」、「ドキュメンタリーとしてフェアじゃない」などなど。
マイケルムーアはそれに対して、「事実関係は徹底的に調べている。訴訟も結構」と
言っているがーー。
確かに誇張も少しはあるかもしれない、編集でブッシュがものすごーーくおバカに見えるようにしているとも思った。(もともとバカだけどさ)

でも、ブッシュがテロと関係ないイラクに侵攻して、たくさんのイラク人とアメリカ人が死傷しているということ。
そしてその戦争は国連のルールをまるっきり無視して無理やりはじめられたということ。
そんな無駄なことを続けているせいで、テロリスト達は今ものうのうと暮らしていること。
これらは紛れもない事実。 
そして多くの人達が忘れてしまっていること。


上映開始から2週間以上たった今も、このフィルムはトップにたったいる。 上映劇場が少ないにも関わらず。
私は4年前の大統領選挙でブッシュが大統領になった当時から反ブッシュ派?だったから、このフィルムは絶対に見たい!と思っていたのだけれど、映画館には杖をついているお年寄りから、お金持ち風の白人中年カップル(こういう人たちはほとんどが共和党支持)、若い人たちと色んな人がきていた。 
恐らくもともと反ブッシュ派の人はもちろんだけど、中立の立場にある人、ただ興味がある人も見にきていることと思う。


もしかしたら、この映画が戦争を止めさせることができるかもしれない、と思った。

1人の監督が作った映画が、人々の命を救うことができるかもしれない。



日本では『時期は決まっていないが』 『この夏に』 『とりあえず恵比寿ガーデンシネマのみ』 で上映されるらしい。
このフィルムが日本で上映される頃、小泉首相はのうのうと再選をやりとげて、トップのイスに座りつづけているのだろうな。


このフィルム、賛否両論はあるとは思うけれど、是非みんなに見てもらいたいと思う。




7/11/2004



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