N's Little Happiness
++ベビーシッター++
生まれてくる子供はデイケアセンターに預けようと思っていた。
デイケアセンターとは日本で言う私立の保育園みたいなもので、生後6週間から預かってくれる。
いいところは大変な競争率だから、ジョナサンと私も妊娠5ヶ月の時から予約を入れては見学させてもらってた。
ある日、いつものように当り障りなく乳児のクラスを見せてもらってたら、歩行器に乗せてもらった8ヶ月の女の子が私とジョナサンを見たとたん、満面の笑みでダーッとこっちへ向かってきた。
「どうしたのー?」「一緒に遊びたいのぉ?」なんて少しかまってあげてから部屋を出ようとすると、泣きべそをかいて必死で歩行器で追いかけてくる。
ケアギバーさん達は微笑ましいって感じで笑顔で見てたけど、私はなんだか胸が痛くなった。
・・・アテンションがほしいんだ。
1歳未満のベビーなんて、はじめてみた人にはそんなに興味を示さないはず。それなのにちょっとかまってあげた私たちに対してあんなに泣きべそかいて追いかけてくるなんて。。。
1人の先生で4人の赤ちゃんを見るんだもの、同じ赤ちゃんをいつもいつも抱っこできないのはわかってる。ジョナサンもあの女の子を見て、私と同じ気持ちになったらしく、それ以来デイケアセンターのことは話さなくなったし、見学ツアーも止まってしまった。 預けなきゃいけないのはわかっているのだけれど。
見学ツアーをすっかり中止して私が妊娠8ヶ月になった頃、ひょんなことから同僚の奥さんがベビーシッターをしてくれることになった。 結婚したばかりで彼らには子供がいないのだけど、彼女は日本でずーっと保母さんをしてた保育のべてらん。 おまけに住んでるアパートも会社から近いのでお昼休みに授乳にいってもいいというのだ。 なんてラッキー!。
---それがベビーシッターのまりちゃんとの出会いだった。
子供を預けて働いているママが多い中で、私がどれだけラッキーかも、彼女にどれだけ感謝してるかも、書ききれないほどに、まりちゃんはカイをよく看てくれている。
まりちゃんは、抱っこしておかないと続けて寝ないカイのために、彼が昼寝をしてる間はずーっと抱っこしてくれる。ひどい時は2時間以上も。 それから私が大変だろうと、カイが使った哺乳瓶や、よだれかけ、タオルやシーツなんかをすべて洗ってくれて、おまけに昼時には私のお昼の世話までしてくれるのだ!
子供の世話が片手間でできる楽な仕事じゃないことは、母親の私が一番よく知っている。
まりちゃんのすごい所は、そんな大変な仕事をお金のためじゃなくやってくれてるのだ。 『カイ君が来てくれて、本当に毎日楽しいんですよー』と何度も言ってもらえる私は幸せ者じゃなくて、なんと言えばいいのだろう。 とっても嬉しいことである。
はじめはカイを一日の内の何時間か”預かってもらう”と考えてた私も、日に日に彼女を”子育てのパートナー”としてみるようになってきた。
カイが嬉しくて笑ってる時、機嫌が悪くてぐずってる時、うんちがゆるいとか、今日はこれができたとか、こんなしぐさをしたとか、そういう瞬間、瞬間をわけあって、一緒に話し合えるパートナーがいるなんて、なんて幸せなんだろう。
夜中の授乳がいまだに続いてて、仕事との両立で大変な毎日だけど、朝、まりちゃんが「昨夜カイ君どうでした?」「ミルクたくさん飲みました?」「今日は機嫌がいいですか?」などと話し掛けてくれるだけで、今日も一日がんばろう!という気になる。 自分の気にかけていることをシェアできる人がいるのが、こんなに楽だったなんて知らなかった。 まりちゃんと子育てをわけあってる分、私のストレスも半減する感じ。
当たり前だけど子育てとは自分やジョナサンだけどするものじゃない。 おじいちゃんやおばあちゃん、おじさん、おばさん、そして私の場合はまりちゃんとその旦那さん(ご主人=私の同僚の子煩悩ぶりはまた後日書くことにしよう)、カイに愛情を持って関わってくれる人は全員、子育てしてくれてるのだ。 たくさんの人に子育てしてもらえるカイは本当に幸せな子供だなーとつくづく思う。
私がこうして仕事ができるのもまりちゃんのお陰。 彼女とは心を通わせて、ずーっとよいお付き合いをしていきたいと願っている。

ベビーシッターのまりちゃん